令和4年度国への予算要望に対する回答について

 令和3年7月14日に自由民主党神奈川支部連合会を通じて国へ要望した回答について示されましたのでお知らせいたします。

1.雇用調整助成金特例措置の更なる延長について

(要望要旨)

 全日本トラック協会の調査結果によると、令和3年3月現在で約7割のトラック運送事業者の運送収入がコロナ禍前の平成31年3月期と比べ減少しており、故に5割弱のトラック運送事業者が雇用調整助成金を活用又は活用の検討をしておりますが、同助成金特例措置の期間をコロナ禍が終息するまでの間、延長して頂きたいと存じます。

 重ねて、上限額の引上げや助成率の向上、交付までの期間の迅速化についても要望いたします。

(回  答)

1.雇用調整助成金の特例措置については、特に業況が厳しい事業主等(※1)に対しては日額上限15,000円、助成率最大10/10の手厚い支援を行い、これらに該当しない場合も、リーマンショック時の水準(※2)を大きく上回る、日額上限13,500円等の支援を行っております。この現行の特例措置を11月末まで継続することをお示ししているところです。

(※1)以下のいずれかに該当する事業主

①緊急事態措置区域、まん延防止等重点措置区域において、知事の要請を受けて、営業時間の短縮等に協力する新型インフルエンザ特措法施行令第11条に定める施設(飲食店等)の事業主

②最近3か月の売上げ等の月平均値が前年又は前々年同期比30%以上減少している全国の事業主

(※2)リーマンショック時の雇用調整助成金の日額上限は、基本手当日額の上限額のうちの最も高い額(現行では、8,265円)であった。

2.更に、事業主の事業計画の見通しや予見可能性に配慮し、助成率については、年末まではリーマンショック時(中小企業:最大9/10)以上(※3)を確保する予定です。

(※3)中小企業:4/5(9/10)、大企業:2/3(3/4)以上(※3)を確保。

(  )内は解雇等を行わない場合。

3.12月以降の助成内容については、雇用情勢等をしっかりと見極めながら、適切に対応してまいります。

4.また、雇用調整助成金の支給に当たっては、

・申請書類等の記載事項を半減するとともに、

・計画届の省略を認める

などの申請手続きの簡素化を進めてきたところです。

 引き続き、支給までの期間の迅速化を図ってまいります。

(厚生労働省職業安定局雇用開発企画課)

2.首都高速道路における高速道路料金について

(要望要旨)

〇現行の車種間比率を令和4年4月1日以降も当面維持する(延長する)こととして頂きたい。

〇深夜割引の導入について、午後10時から午前5時までに拡充頂くとともに、割引率についてもネクスコと同様の3割に拡充されたい。

(回  答)

〇首都高速道路においては、新型コロナウイルス感染症による影響を考慮し、令和3年3月末までとなっていた激変緩和措置について、令和4年4月から予定されている大口・多頻度割引を拡充するまでの措置として、令和4年3月末まで1年間延長しているところです。

〇一方、首都高速道路においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、特に軽・二輪や普通車等の交通量が落ち込み、料金収入が減少しており、厳しい経営状況となっています。

〇引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を注視しつつ、激変緩和という役割も踏まえ、車種間比率激変緩和措置の延長について、必要に応じて検討してまいります。

〇また、深夜割引については、大都市圏の中心に位置する首都高速の夜間時間帯の交通量が多いため、深夜割引導入により、3号渋谷線の上りを中心に、時間帯によっては混雑が生じる可能性があります。

〇来年4月から予定されている深夜割引を導入した後の交通状況の変化を踏まえつつ、財源確保という課題もありますが、この夏の国土幹線道路部会の中間答申における料金割引の見直しの方向性を踏まえ、幅広く議論を行い、引き続き時代に即したものになるよう努めてまいります。

(国土交通省)

3.道路交通法改正に伴う大型免許及び中型免許取得における若年者の特例講習費用の一部負担について

(要望要旨)

 令和4年6月までに施行するトラックの大型免許・中型免許とバス・タクシーの第二種運転免許の受験資格を「19歳以上、普通免許の保有歴1年以上」に緩和する特例措置の要件として課す特例講習の時限数が36時限程度になる見通しとのことですが、実際の免許取得に際しては、これら特例講習を終了後、従来の教習時間を要することから、免許取得に要する費用はより高額となることとなります。

 人材の確保に悩むトラック運送業界において、若年者の確保は重要な課題であり、資格取得の観点から特例講習に掛かる費用について、教育訓練給付金やキャリア形成促進助成金等の公的助成金の対象にして頂くよう要望いたします。

(回  答)

〇トラック運送業における若年層の割合は、全産業平均と比べ低い水準にあり、若年層ドライバーの確保は重要な課題です。

〇国土交通省では、若年層ドライバーの確保に当たって、賃金や労働時間に係る労働条件の改善や、重労働の軽減が必要であると考えており、

・「標準的な運賃」の荷主への浸透

・「ホワイト物流」推進運動の展開

・荷役作業軽減のためのテールゲートリフター等の導入支援

等に取組んでいるところです。

〇国土交通省としましては、これら若年層ドライバーの確保策に引き続き取組むとともに、今後、特例措置の要件として課される講習費用について、各種助成金等の対象となるよう関係省庁に働きかけてまいります。(国土交通省)

4.道路交通法改正に伴う大型免許及び中型免許取得における若年者の特例講習費用の一部負担について

(要望要旨)

 特例講習費用に関する一部公的助成の要望

(教育訓練給付、人材開発支援助成金 等)

(回  答)

 ご要望については、具体的な申請も出てきておらず、お答えすることは困難であるが、一般論として、教育訓練給付については、厚生労働大臣が定める指定基準に基づき、教育訓練施設から申請のあった講座を審査し、指定基準を満たす場合に、対象講座として指定している。

 また、人材開発支援助成金については、事業主等が雇用する労働者に対して、トラックの大型免許等を取得させるために必要な職業訓練等を実施し、各種要件を満たす場合に、訓練実施に要した経費や訓練期間中の賃金の一部等を支援している。

 引き続き厚生労働省においては、人材不足に悩む交通運輸業界に対して人材確保の観点から支援を行ってまいりたい。(厚生労働省)

5.新型コロナウイルス感染症に対応した経済対策について

(要望要旨)

 神奈川県中小企業制度融資は、新型コロナウイルス感染拡大により経営に影響を受けた多くの事業者が利用しております。コロナ禍が長引く中、厳しい経営環境が強いられており、昨年度に元本措置にて借り入れた資金の支払いが今年度中に据置期間の終了に伴う返済が開始されるため、資金繰りに苦慮する事業者が増大することが予想されます。

 つきましては、元本据置措置の更なる延長を図って頂きたく要望します。

(回  答)

1.各地方自治体が措置する制度融資は、各地方自治体が個別の実情に応じて独自に実施しているものと認識。

2.国としては、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化していること等を踏まえ、政府としては、政府系・民間金融機関等に対して、

一 新規融資の積極的な実施・活用について最大限の配慮を行うこと

一 据置期間などが到来する既往債務の条件変更(リスケ)について、長期の延長を積極的に提案するなど、実情に応じた最大限柔軟な対応を行うことなどを累次にわたり要請しており、各機関において基本的には条件変更(リスケ)に応じている。

3.引き続き、感染状況等を注視しながら、事業者の皆様の資金繰り支援に取り組んでまいる。

(経済産業省)

6.働き方改革関連法令に係る猶予期間の延長について

(要望要旨)

 働き方改革関連法が成立し、運送業界においては働き方改革の実現に向けて、長時間労働の抑制等に取組んでいるところです。

 しかしながら、現状の運送事業者は新型コロナウイルス感染症のまん延防止を図りつつ、日々の業務継続を図っていることから、働き方改革を取組むことが厳しい状況であります。

 そこで、物流停滞を回避するためにも、新型コロナウイルス感染症が終息するまでの間は、令和6年3月末までの期限であるトラックドライバーの時間外労働上限規制の猶予期間の延長を要望いたします。

(回  答)

1.「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」では、時間外労働の上限規制を罰則付きで法定化したところですが、自動車運転業務については、

・現に他の産業に比べて労働時間が長い実態があり、その背景には、荷主の都合で生じる荷待ち時間などといった個々の運送事業者の努力だけでは解決できない取引慣行などの課題もあること

・実態に即した形で上限規制を適用していくには、取引慣行上の課題も含めて解決していく時間が必要であること

から、5年間の適用猶予期間を設け、時間外労働について令和6年4月から年960時間の上限規制を適用することとし、一般の業種に適用されている上限規制の適用を見送ることとしております。(※)

(※)平成31年4月より、一般の業種については、以下の時間外労働上限規制を適用しています。

・2~6ヶ月の平均で、いずれの場合にも休日労働を含んで80時間以内

・単月では休日労働を含んで100時間未満

・原則の月45時間を上回る特例の適用は年6回まで

2.この時間外労働の上限規制を実効性のあるものとし、できる限り長時間労働を是正していくためには、荷主や発注者を含めた業界ごとの取組みが必要であると考えています。

 このため、厚生労働省は、国土交通省や全日本トラック協会と連携して、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」において、平成28年度から業務効率化及び長時間労働改善のためのパイロット事業を実施し、その成果として得られた荷主、運送事業者双方の取組による自動車運転者の労働時間短縮のノウハウを、「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」として平成30年11月にとりまとめており、各都道府県で開催するセミナーや厚生労働省で運営しているポータルサイトにおいて、荷主、運送事業者に対して周知しているところです。

 また、「自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」において、「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画」を平成30年5月に策定し、政府全体で荷主と運送事業者との間の取引環境の適正化等に取組んでいます。

3.厚生労働省としても物流の維持は重要な課題として受け止めており、運送事業者が年960時間の上限規制に円滑に対応できるように、新型コロナウイルス感染症への対応を含めて引き続き省庁間で連携して取り組み、事業者支援に力を入れてまいりますので、運送事業者の皆様におかれましても、長時間労働の改善等に向けた取組をお願いいたします。

(厚生労働省労働基準局労働条件政策課)