令和6年度 国への予算要望に対する回答について

令和5年7月18日に自由民主党神奈川支部連合会を通じて国へ要望した回答について示されましたのでお知らせいたします。

1.高速道路通行料金について

(要望要旨)

 ①3つの料金水準の引下げ(NEXCO3社)
 ②大口・多頻度割引を実質50%割引に拡充(NEXCO3社)
 ③首都高速における割引制度の拡充(首都高)
 ④深夜割引率の更なる充実

(国土交通省からの回答)

 高速道路の料金水準については、平成25年6月の国土幹線道路部会の中間答申などを踏まえ、「整備重視の料金」から「利用重視の料金」に移していくこととし、平成26年4月より3つの料金水準に整理しています。

 この措置については、今年度末(令和6年3月末)に期限を迎えることから、来年度以降の扱いについて、有識者委員会において地域の意見を聴くなど幅広く議論を行い、年内には料金についての方針を確認する予定です。

 なお、物流事業者など、高速道路を利用する機会の多い車の負担を軽減する措置として、大口・多頻度割引(最大割引率40%)を導入しており、補正予算等を活用しながら、ETC2.0を利用する自動車運送事業者を対象とした最大割引率の拡充措置(40%→50%)も実施しています。

 先日成立した令和5年度補正予算においても、この措置の令和7年3月末までの継続に必要な経費が計上されており、今後、高速道路会社と必要な手続きを進めてまいります。

2.人材確保対策による大型免許資格取得支援について

(要望要旨)

 令和4年5月の改正道交法の施行によって、大型免許等の取得年齢が特例講習を受けた場合は「19歳以上で普通免許保有歴1年以上」に緩和されたが、この特例講習に掛かる費用についても教育訓練給付金や人材開発支援助成金の公的助成の対象にして頂きたい。

(厚生労働省からの回答)

 教育訓練給付については、労働者が主体的に資格取得等を目標とする厚生労働大臣の指定講座を修了した場合に、費用の一部を雇用保険により支給しており、ご指摘の特例講習をカリキュラムに組み込んだ大型免許等の取得を目標とする講座についても、指定の対象としているところ。

 また、人材開発支援助成金については、事業主等が雇用する労働者に対して大型免許等の取得に係る当該特例講習を実施し、各種要件を満たす場合に、訓練実施に要した経費や訓練期間中の賃金の一部等を支援している。

 引き続き厚生労働省においては、人材不足に悩む交通運輸業界に対して人材確保の観点から支援を行ってまいりたい。

(国土交通省からの回答)

 我が国経済を支えるため、トラック運送業における担い手の確保は喫緊の課題と認識しております。

 国土交通省では、大型免許、けん引免許及びフォークリフト運転資格の取得支援を通じて、労働生産性の向上、女性や若者等の多様な人材の活用・育成の推進に取り組んでおります。

 引き続き、関係省庁や業界団体とも連携しながら、トラック運送業における担い手の確保に取り組んでまいります。

3.準中型免許の運転できる自動車の範囲(車両総重量・最大積載証)の拡充について

(要望内容)

 平成29年3月12日施行の準中型免許については、施行から6年目を向けたが、業界では中型車(いわゆる4トン車)以上を運転できるドライバーが強く求められており、ドライバー不足が深刻となっているなか、若年ドライバーの確保のため準中型免許の車両総重量の制限を7.5トンから8トンまでと緩和し、いわゆる4トン車が運転できるよう制度を改正されたい。

(警察庁からの回答)

 御指摘の「中型車(いわゆる4トン車)」が最大積載量を指している場合は、従来中型免許が必要となっていたところ、平成27年道路交通法改正により、準中型免許を取得すれば足りることとなったところであり、この準中型免許の取得に際しては、普通免許等を予め取得している必要はなく、18歳以上の者であれば取得することが可能です。

 他方で、ご指摘の「中型車(いわゆる4トン車)」が車両総重量を指している場合は、従来普通免許で運転可能となっていたところ、同改正により、18歳以上の者であれば取得することが可能な準中型免許が必要となったところです。

 この準中型免許創設の経緯については、別添資料1「準中型免許新設(平成27年改正)」のとおりです。当時、全日本トラック協会や全国高等学校長協会から「高校を卒業して間もない者が、車両総重量5トンを超える貨物自動車を運転できるよう、普通免許等の保有要件無く取得可能な運転免許の創設」に関する要望があったことと同時に、貨物自動車による死亡事故の増加による安全対策への社会的要請があったことに鑑み、その両方を実現するための新たな免許区分の創設に至ったものです。

 前記のとおり、準中型免許は高校卒業して間もない者でも取得できる普通免許の上位の新たな免許区分であるほか、これまで中型免許を要することとされていた最大積載量3.0トン以上4.5トン未満の範囲の自動車については、準中型免許の対象範囲となったことにより、免許の取得可能年齢が引き下げられ、かつ、普通免許等の取得年数要件も撤廃されたという面もございます。

4.市街化調整区域に係る法制度の見直し

(要望内容)

 トラック運送業界においては、自然災害対策や事業継続に向けた営業所や物流施設等の移転・新設、または共同化や事業集約における施設整備等に必要な用地確保が難しくなっている。市街化調整区域における物流施設の開発について、特別積合せ貨物運送以外の一般貨物自動車運送事業についても国民生活を支える公共性の高い事業であることから、現在みとめられている特別積合せ貨物運送と同様に開発許可を不要とする等、市街化調整区域に係る法制度の見直しをされたい。

(国土交通省からの回答)

 都市計画法では、一定の開発行為について都道府県知事等の許可を受けることとされており、市街化を抑制すべき区域である市街化調整区域においては、都市計画法第34条に規定する基準のいずれかに該当する場合に限って認められます。

 一方、法令で定められた公益上必要な建築物に係る開発行為については、都市計画法上、開発許可が不要とされております。特別積合せ貨物運送事業は、不特定多数の荷主の貨物を積み合わせて定期的に運送する物流の幹線としての役割を担う事業であり、高い公益性が認められることから、許可が不要とされているところです。

 市街化調整区域で開発許可が必要となる物流施設を整備する場合においても、物流総合効率化法に基づく特定流通業務施設としての整備や地方公共団体が指定した区域内に整備する場合など、都市計画法第34条の基準を踏まえて地域の実情等に応じて許可できることとされております。

5.外国人労働者の導入に向けた検討策の推進について

(要望内容)

 中小企業が大多数を占めるトラック運送業界においては、近年、ドライバーの有効求人倍率が全産業と比較して約2倍のまま推移するなど、担い手不足が深刻な状況となっており、生産性向上や国内人材の確保に積極的に取り組んでいるが、早急な改善の見通しは非常に厳しい状況にある。このような状況に鑑み、トラック運送業において、外国人材の受入れが可能となる特定技能制度が活用できるよう検討策を推進していただきたい。

(国土交通省からの回答)

 これまで、トラックをはじめ、バス、タクシーも含む自動車運送業界の3つの団体において、各団体の今年度の事業計画に、外国人材の活用が盛り込まれたことを受けて、国土交通省では、自動車運送業の特定技能の対象分野への追加について検討を行ってきたところです。

 今般、新たな総合経済対策に外国人材の活用に係る方針が盛り込まれたことを念頭に、自動車運送業の特定技能の対象分野への追加について、今年度中に検討し、結論を得次第速やかに措置するべく、引き続き、関係省庁とも連携しつつ、議論を深めてまいります。

6.2024年問題に対応した「物流革新に向けた政策パッケージ」の深度化について

(要望内容)

「2024年問題」に対応した「物流革新に向けた政策パッケージ」の深度化について、今後一層の深度化を図られたい。

(国土交通省からの回答)

「2024年問題」に対応するため、6月には、政府の関係閣僚会議で「物流革新に向けた政策パッケージ」を策定し、10月には、このうち緊急的に取り組むべき対策を「物流革新緊急パッケージ」としてとりまとめました。

 これらに基づき、即効的な対策として、モーダルシフトや省人化・省力化などの物流効率化への支援とともに、再配達半減に向けてポイント還元事業を通じ、消費者の行動変容を促す措置等に取り組んでいきます。

 また、賃上げ原資確保のための適正な運賃収受を図る措置や、荷主に荷待ち時間削減等の取組を義務付ける措置にういて、本年通常国会へ法案提出を目指し、法制化を進めています。

 さらに、政策パッケージの取組状況について、2024年度における輸送力不足の解消に目途をつけることを念頭に、2024年早々にフォローアップを行うこととしています。

 国土交通省としては、物流の停滞が生じないよう、さらには、物流産業が魅力あるものとなるよう、関係省庁と緊密に連携し、「2024年問題」に対応してまいります。